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WHOのSARSに関する知見

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このページを印刷する最終更新日:2007年1月4日

ページID:10666

ページの概要:WHOのSARSに関する知見について

WHOの知見

SARSに関する新しい知見をWHOが公表しました。(2003年10月17日)

最新の知見の集約文書や報告書からの幾つかの主な結論

報告書によると、SARSが空気感染する疾患であるという証拠はない

すべての集団発生の場において、主要な感染経路は目・鼻・口からの感染性の呼吸器からの飛沫への直接接触である。1人の患者が平均3人を感染させたことは、SARSが空気中の浮遊微小粒子よりも、むしろウイルスを含んだ飛沫との直接接触により広がったと考える方が自然である。インフルエンザ*や麻疹といった空気中に病原体が浮遊する疾患においては、たった一人の患者が咳をすることにより室内にいる全員を感染させることができる。
これがSARSにおいて発生した形跡はない。このことから、頻回の手洗いのような基本的な感染制御手技が、この疾患の拡散速度を落とさせる上で大きな役割を果たす。

医療従事者が特に感染リスクにさらされている

医療従事者、特にエアロゾルを発生する行為に関与していた者がSARS患者全体の21%を占めており、その割合は可能性例として報告された症例の3%のアメリカから、43%のカナダまで様々である。幾つかの例では、医療従事者がマスク、眼の予防具、ガウン、手袋をしていたにもかかわらず感染した例もある。その他少数ではあるが、軽症の患者に短時間の直接暴露をしたのちに感染した例もある。

感染のリスクは第10病日ごろが最も大きい

気道からのウイルス排出は、第10病日ごろに最も多くなり、その後減少していく。感染効率は、通常、発症して第2週目に入った重症患者や、急速に臨床経過が悪化していく患者に暴露された場合が最も高くなるようである。有症状の患者が発症から5日以内に隔離された場合には、二次感染はほとんど起こらなかった。しかしながら、感染初期の患者に暴露し感染した、例外的事例もいくらかある。

報告書によると、解熱後10日以上経過した患者が感染を広げた形跡はない

この結果は、現在の接触管理や退院基準に関するWHOの提言を支持している。

小児はめったにSARSに罹患しない

現時点で、小児から成人に感染した事例が2例報告されているのみで、小児から小児への感染は報告されていない。3つの独立した疫学的調査により、学校でSARSが感染伝播した確証は見つからなかった。さらに、妊娠中に感染した母から生まれた新生児に、SARS感染の兆候は見られなかった。小児が、無症状あるいは軽症のSARSに感染しているかどうかを確定するには、さらに調査が必要である。

メトロポールホテルでの集団発生の意味するところは、まだ完全には解明されていない

SARSの国際的拡散の発端となった、香港のメトロポールホテルにおける2月下旬の集団発生は、それを取り巻く詳細な状況調査によっても、すべての疑問点の解決には至らなかった。この事例の間、ウイルスは少なくとも16人の宿泊客や訪問者に感染したが、彼らはすべてホテルの9階に結びつけられた。発端者が宿泊した911号室の外側のカーペット上と、エレベーター周囲から環境検体を採取したところ、汚染領域(おそらく嘔吐物あるいは気道分泌物)であることが判明した。発端者がこのホテルで一晩過ごしてから3ヶ月経過後も、検体はPCR法により陽性であった。検査は生きたSARSコロナウイルスそのものではなくSARSコロナウイルスRNAの存在を示したに過ぎないが、この結果は環境中でこのウイルスが長期生存することを示唆している。
メトロポールホテルの集団発生は、「superspreading event(異常に多くの感染伝播を発生した事例)」として認識されている。しかしながら、発端者は第9病日および第11病日に検査した際には、特に異常に高いウイルス排出量は示さなかった。

航空機内での感染伝播のリスク

国際線フライト5便が、有症状の可能性例から乗客や乗務員へのSARS感染に関連があるとされた。本報告書内に、これらフライトに関するより詳細な情報が記載されている。報告書によると、3月27日にWHOが航空機の利用に関連して更に国際的拡散する機会を減少させるために、飛行機による出国時スクリーニングやその他の対策を含む旅行勧告を発表した後は、航空機内での感染伝播が確認された形跡はない。

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