1ページ 資料1 協議事項 1 事業者・市民に求める「責務」・「役割」 ○論点 ・事業者や市民について、「責務」とするか「役割」とするか。 ※見出しは、内容を簡潔に表したものであるため、内容にあった見出しとする必要があります。 ○意見提出シートにおける関連意見 名古屋市の責務・事業者の責務・市民の責務と、やはりすべてに責務が必要ではないか。(岡田委員) 事業者、市民とも名古屋市同様、「役割」ではなく、「責務」とすべき。(近藤委員) 条例を制定するにあたり、事業者や市民に対して「禁止」や「責務」という強い文言を多く使用すると、今のところ障害者ではない者を法的に縛ることにはなりますが、自発的に、心から差別は良くない、と思い至ることにはならず、表面的もしくは事務的な振る舞いに留まってしまうのではないでしょうか。(牧委員) 下記のように事業者の責務と市民の責務を記載する。(仁木委員) (事業者の責務) (1)基本理念にのっとり、障害及び障害のある人に関する理解を深め、障害者差別解消法における事業者の責務・合理的配慮を実施するとともに、障害のある     人が日常生活及び社会生活において直面する課題について、共に考え、解決を図り、地域で誰もが共に暮らしていくため、事業活動の合理的配慮のある環境づくりを実施する。 (2)〜施策に協力する。 (市民の責務) (1)基本理念にのっとり、障害及び障害のある人に関する理解を深め、障害のある人が日常生活及び社会生活において直面する課題及び障害を理由とする差別・偏見・無理解等を共に考え、解決を図り、差別等のない合理的配慮のある地域を確立するよう、共に良い環境づくりに取り組む。 (2)市 案〜施策に協力する。 名古屋市、市民、事業者の責務をそれぞれに入れていく。(王子田委員(第1回会議後の意見)) 市の責務のほか、市民と事業者の責務を規定したいと考えます。市民については「市民の役割」として、権利擁護等の施策に協力するよう努力義務として規定したいと考えます。(小山委員(第1回会議後の意見)) 2ページ ○市の考え方  責務として掲げますが、障害者差別解消については、自発的な取組が重要であると考えており、表面的もしくは事務的な対応とならないよう、事業者も市民も正しい理解に基づく自発的な取り組みを促す趣旨の内容とします。  良好な環境づくりについては、事業者・市民がそれぞれ可能な限りの対応をいただく趣旨から努力義務とし、市が実施する施策については、具体的に示されることから義務とします。 第2回部会で示した枠組み(案) 5 名古屋市の責務、事業者の役割、市民の役割 @名古屋市の責務 (1)基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解の促進を図るとともに、障害を理由とする差別の解消に関する施策を総合的かつ計画的に実施する。 (2)障害者差別解消に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じる。 A事業者の役割 (1)基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解を深め、障害者が日常生活及び社会生活において直面する課題を共に考え解決を図り、地域で誰もが共に暮らしていくための良好な環境づくりに努める。 (2)市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力するよう努める。 B市民の役割 (1)基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解を深め、障害者が日常生活及び社会生活において直面する課題を共に考え解決を図り、地域で誰もが共に暮らしていくための良好な環境づくりに努める。 (2)市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力するよう努める。 市の考え方 5 責務 @名古屋市の責務 (1)基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解の促進を図るとともに、障害を理由とする差別の解消に関する施策を総合的かつ計画的に実施する。 (2)障害者差別解消に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じる。 A事業者及び市民の責務 (1)基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解を深め、障害者が日常生活及び社会生活において直面する課題を共に考え解決を図り、地域で誰もが共に暮らしていくための良好な環境づくりに努める。 (2)市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力する。 3ページ 2 事業者における合理的配慮の提供のあり方 ○論点 ・事業者は合理的配慮を法的義務「〜しなければならない」とするか、努力義務「〜するよう努めなければならない」とするか。 ○意見提出シートにおける関連意見 「事業者は、その事業を行うに当たり、(中略)合理的配慮をする。」と義務化すべき。努力義務では曖昧かつ分かりにくく、バニラエアの搭乗事件のように、合理的配慮や環境整備を行えるにもかかわらず行っていない場面が多く、障害当事者が嫌な思いをし、大きく騒がれてからでないと理解されない、改善されないという問題がある。(近藤委員) 現段階では、引き続き事例を積み上げる必要があると思います。その上で、「義務化」について検討するのが妥当ではないかと思います。(弘田委員) 事業者は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法で規定している通り、各事業者別の対応指針に基づき、障害のある人にとって、人権侵害・不利益にならないよう、適切な合理的配慮、不当な差別に対して、対応しなければならない。(仁木委員) この条例は障害者のためのものですが、読んでほしいのは障害者でない者たちです。障害者でない者に、障害者に対してああしろ、こうしろ、これはするな、これは義務だ、これは責務だ、と声高に訴えることで、僕たちの思いは障害者でない者たちの心に届くでしょうか。(牧委員) 事業者について、サービス提供にかかる合理的配慮を努力義務ではなく、法的義務として規定できればと考えます。(小山委員(第1回会議後の意見)) 民間事業者に関しては努力義務のままでよいと思いますが、悪質と思われる場合の対応は指導・勧告・公表もありうる。(加藤委員(第1回会議後の意見)) 政府の基本方針においても事業者については、不当な差別的取り扱いの禁止が法的義務とされる一方、合理的配慮の提供については努力義務(愛知県の条例も同様)とされていることを踏まえるべき。(田中(豊)委員(第1回会議後の意見)) 4ページ ○参考 合理的配慮の「義務」に関する障害者差別解消法及び障害者雇用促進法における考え方 ※障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集(抜すい) 【8.障害者雇用促進法との関係】 問8−2 合理的配慮に関して、民間事業者は努力義務となっているが、雇用分野については、民間事業者も含めて義務となっていることとの関係如何。 (答)1.本法は事業分野を特定せず、包括的に事業者に対して障害者に対する合理的配慮を求めるものであるが、障害者と事業者との関係は事業分野ごとに様々であり、求められる配慮も多種多様であることから、自公民の3党における議論において、本法においては、事業者については努力義務としている。 (答)2.雇用分野については、障害者の自立や社会参加にとって極めて重要な分野であり、労働者と事業主とは雇用契約における継続的な関係にあることなどを踏まえて、事業主等の合理的配慮の提供を義務としたところである。 ○市の考え方  合理的配慮については、個別具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性が高いことから、義務とする場合には、ボランティア団体などさまざまな事業者と障害者の関係における具体的事例など、求められる多種多様な事例の集積を踏まえる必要があると考えます。  なお、事業者に対しては、努力義務としつつも、努力義務の規定が形骸化しないよう多くの事業者が国の対応指針を踏まえた対応といった例を示した内容を案とします。   第2回部会で示した枠組み(案) 6 差別の禁止等 @ (略) A 市は、その事務又は事業を行うに当たり、負担になり過ぎない範囲で、合理的配慮をする。 B 事業者は、その事業を行うに当たり、負担になり過ぎない範囲で、合理的配慮をするように努める又は合理的配慮をする。 C 事業者は、その事業を行うに当たっては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第11条第1項に規定する対応指針に即して、適切な対応に努める。 D〜 (略) 6 差別の禁止等 市の考え方 @ (略) A 市は、その事務又は事業を行うに当たり、負担になり過ぎない範囲で、合理的配慮をする。 B 事業者は、その事業を行うに当たり、負担になり過ぎない範囲で、合理的配慮をするように努める。 C 事業者は、その事業を行うに当たっては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第11条第1項に規定する対応指針に即して、適切な対応に努める。 D〜 (略) 5ページ 3 相談及び紛争防止・解決の仕組み ○論点 ・紛争解決のために障害者差別相談センター以外に勧告・公表の仕組みを整備するか。 ・相談対象とする差別に合理的配慮の不提供も含めるか。 ○意見提出シートにおける関連意見 障害者差別相談センターは、建設的な双方の話し合いによって、差別としての紛争を解決してきていることから、とくに必要性を感じていません。また、障害者差別解消法第12条(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)において、主務大臣は「当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる」とされていること、及び、愛知県の条例を活用することで充足すると判断しています。(弘田委員) 市長の勧告・公表の仕組みをつくるべき。具体的な仕組みについては、既存の機関を活用できるか否かも含め、今後、部会で議論をする必要があると思います。(近藤委員) 下記のような解決の仕組みの叩き台を提出する。(田中(伸明)委員) (仕組みのイメージ) ・差別相談等に関する解決の仕組みとしては、最終的に指導、勧告、公表という手段まで採ることができるようにすべきと考えます。 ・これらの手段を採ることができるためには、調整委員会等の設置が必要となりますが、現在の差別相談センターも、この調整委員会の構成員とすべきと考えます。その他、然るべき人材を構成員とすべきと考えます。 (申し立て) ・障害者その他の関係者が申立てを行います。 ・申立先は、市長、調整委員会のいずれか、あるいは、その双方とすればよいと考えます。 (事実調査) ・調整委員会が行いますが、差別相談センターが既に相談を受けている場合か否かによって、調査の方法を検討する必要があると思います。 ・既に差別相談センターが一定の調査を行っている場合には、その報告を求めた上で、別の委員が調査するという方法もあると考えます。 (指導、勧告、公表) ・調査結果に基づき、調査委員会全体で検討した上で、決定するべきと考えます。 ・公表という厳しい方法を採る場合には、再度の意見陳述の機会を設ける等することも検討すべきと考えます。 (他都道府県条例) ・他の都道府県条例の仕組みの比較検討が必須です。 6ページ 下記のように事業者の責務と市民の責務を記載する。(仁木委員) (助言又はあっせんの申し立て) 相談に係る関係者は、なお解決が図られない場合は市長に対し、その解決のために必要な助言又はあっせんの申し立てをすることができる。その場合、障害のある人の意思に反することが明らかである場合が認められる時は、申し立てをすることが出来ない。 (事実の調査) 1 市長は申し立てがあった場合、その申し立てに係る事実について調査を行い、又、名古屋市相談支援機関(名古屋市障害者差別相談センター)に必要な調査を行わせることができる。 2 1の調査の対象となる者は、正当な理由がある場合を除き、調査に協力しなければならない。 (助言又はあっせん) 1 市長は(事実の調査)の1の調査の結果、必要があると認める場合は調整委員会に対して助言又はあっせんを行うことについて審議を求めるものとする。 2 調整委員会は、前項の審議のために必要と認める場合は関係者出席を求め意見を聞き、又、資料の提出を求めることができる。 3 市長は、調整委員会が助言、又はあっせんの必要があると認める場合、申し立て事案が性質上助言、又、あっせんが適当と認める場合は、係る申し立て事案の関係者に対し、助言・あっせんを行う。 (勧告) (事実の公表) (意見陳述の機会の付与) (調整委員会の設置等) 1 調整委員会を設置する。 2 調整委員会は以下の実務をする。 (1)市民の諮問に応じ、差別に係る事項を調査審議する。 (2)調査結果に基づき、市長に対して助言、又はあっせんの必要性について建議する。 3 2に定めるものの他、調整会議の運営に関し必要な事項は規則で定めるものとする。 悪質なケース等への対応として、必要に応じて市長による助言、あっせんを行う仕組みを設ける。実効性を担保するために「指導、勧告、公表」の規定を設ける。(小山委員(第1回会議後の意見)) ○市の考え方  当事者間の対話による解決を原則とする既存の仕組みを基本としますが、極めて悪質な場合の対応として実効性を確保するため、合理的配慮の不提供も含めて市長による紛争解決の仕組み(資料2参照)をつくることを考えます。