35ページ〜36ページ 参考資料2 第1回の部会終了後にいただいたご意見 条例の構成以外についてのご意見 意見1 1 普及啓発について (1)精神の病気や障害に対する社会の誤解や偏見は、現在も依然として根強く存在している。その裏返しとして、家族・本人の中にも内なる偏見がある。病気の症状の苦しみ、障害 (ダメージ)の苦しみに加えて偏見差別という三重苦に苦しめられ、在宅の精神障害者の約7割が「未就労」「引きこもり」の状態にある。(名古屋市精神障害者家族会連合会で実施した生活実態調査結果)具体的事例として、先日、賃貸住宅の入居を精神障害者の手帳を出した途端に、業者から入居を断られた家族に同行して障害者差別相談センターを訪問した。 (2)入居問題に留まらず、就労場面においても精神障害者であることを理由に願書の受取りも拒否きれる事例や、就業規則に「精神障害者と判明すれば解雇できる」とされていたと告白する当事者もいる。私たちは、勇気を出して、差別された時点で相談するよう呼び掛けているが、現実は泣き寝入りしてしまう実態に胸を痛めている。 (3)ことの本質は、泣き寝入りする側の問題ではなく、差別する側の問題である。したがって、「普及啓発」を条文にしっかりと明記し、条例に即して業者向げの研修会などあらゆる機会を通して改善するよう周知していくことが求められる。 2 実態調査について (1)賃貸住宅の契約事項について具体的事例を述べると、仲介業者であるT社の賃貸借契約書の中で「乙、同居人、及び関係者で精神障害者、又はそれに類似する行為が発生し、他の入居者、又は関係者に対して財産的、精神的迷惑をかけた時」に該当すると認められたときに「何の催告、その他の手続きを要せず、直ちに本契約を解除し、明げ渡しを請求することができる」とされていた。(名家連ニュース84号・85号)このような業者が他にあるのかどうかを実態調査し、改善を求める機能や仕組みがなげれば差別を事前に防止することができず、すべてが事後対応となってしまうことは明らかである。 (2)障害者基幹相談支援センターの職員からは、業者との対応には限界があり、どうしようもないという嘆きの声も聞こえてくる。各障害者基幹相談支援センターの精神障害者の入居サポート実績を明らかにしてほしい。 (3)この問題は、事業者の裁量や善意に期待するだげでは何年かかるかわからない。精神障害を理由とした「入居拒否」に類する賃貸契約条項や「解雇」に類する就業規則の存在など、全市的な実態調査をどこが行うのか明らかにする必要がある。私たちはその機能を障害者差別相談センター業務に組込む各関係機関の協力を得ながら進める方策を提案したい。 3 障害者差別解消調整委員会の構成について 紛争を解決する障害者差別解消調整委員会の構成について、愛知県においては障害者団体も構成員になっている。したがって、名古屋市精神障害者家族会連合会も構成員に加えるよう求めていきたい。 最後に、精神分野においては「偏見・差別」が最大の「社会的障壁」であり、条例策定にあたって有効な手立てが講じられなければ「差別の解消」はおろか「合理的配慮」も「地域移行」も「社会参加」も「絵に描いた餅」になってしまうことを強く訴えたい。(堀田明委員) 意見1に対する考え方と反映状況 1 普及啓発について  障害及び障害者への理解が深まるような事業者向けの啓発に一層取り組んでまいります。 2 実態調査について  障害者差別に該当すると思われる事例については、障害者差別相談センターの調整等により改善を図ってまいります。  なお、障害者基幹相談支援センターにおける賃貸住宅入居等サポート事業の実績については、以下のとおりです。  平成 27年度  利用者数 11人(うち精神8人)  入居成立数 10人(うち精神7人)  平成 28年度  利用者数 11人(うち精神7人)  入居成立数 5人 (うち精神4人)   ※平成28年度の利用者数、入居成立数の精神障害者の人数には、身体障害と精神障害の重複する方1名をそれぞれ含みます。  障害者差別解消法の基本方針によりますと、事業者による障害者差別解消の自主的な取組が期待されており、自主的な改善が困難な場合に、主務大臣に報告聴取、助言、指導等の権限を認める仕組みとなっています。また、そのような行政措置を未然に防止するため、主務大臣は対応指針に関する十分な情報提供等を行うこととなっています。  具体的な事案に係る事業者のみならず、全市的な実態調査をただちに実施することは、困難と考えますが、ご指摘を踏まえ広く障害者からの相談対応を受けるなかで、実態の把握に努め、迅速に事業者の自主的な改善が図られるよう取り組みを進めます。 3 障害者差別解消調整委員会の構成について  本市においては、紛争解決の困難事案について、連絡調整会議を開催し事案解決に必要な協議をいただいています。  事案に応じて、名古屋市精神障害者家族会連合会へもご協力をお願いしたいと考えています。  条例においては、障害及び障害者に対する正しい理解の促進を重視しており、子どもの頃から共に学び助け合う心を育むという基本理念のもと、共生社会の実現を目指してまいります。 37ページ 意見2 名古屋市の交通機関は市営が網羅されているので、合理的配慮への指導、問題解決に対して迅速な対応が可能と期待している。 しかしながら、タクシー業界は教育指導が行き届いている会社と個人タクシーの運転手とは対応に差を感じる。(加藤葉子委員) 意見2に対する考え方と反映状況 事業者に対して、障害及び障害者への理解が深まるような啓発に取り組んでまいります。 業界団体への働きかけを通じて業界全体での理解が進むように取り組んでまいりたい。 意見3 すべて一括りにはできないが、名古屋市民ひとりひとりがこの条例の大切さを受け止め、理解を深めていくための指針になるよう願うので、法律や愛知県の条例をさらに身近でわかりやすくした表現を取り入れて構成してほしい。(加藤葉子委員) 意見3に対する考え方と反映状況 可能な限り、すべての人にわかりやすい表現とすることを検討します。 意見4 個人のお店等の改築の際の助成金制度を設け、トイレ整備・バリアフリー化を進める検討を希望する。(加藤葉子委員) 意見4に対する考え方と反映状況 合理的配慮については、それぞれの事業者が主体的に、事業規模に応じて過重な負担に該当するか判断し、代替措置も含めた柔軟な対応をいただくものと考えています。 ご趣旨を踏まえ、合理的配慮の取組みがより普及していくよう積極的な啓発に努めます。 意見5 ルール作りは事がスムーズに進むために必要だが、強制力が強すぎて反発を起こさぬよう、障害者・障害児・高齢者の弱者すべての市民にとって優しい町の名古屋であるために、人を思いやれる心が育つよう、小さいときからの教育の大切さを条例に入れてほしい。(加藤葉子委員) 意見5に対する考え方と反映状況 学校教育のなかで、人を思いやる心が育っていくような基本的な理念を規定することを検討します。【4−H】 意見6 条例の名称についても理念が前面に出てしまっては、市民に差別に対してあいまいなイメージを与えてしまうと思う。 「差別禁止」という言葉を入れ、差別をしては絶対だめだというイメージがわく名称(例えば「名古屋市障害者差別禁止条例」)を希望する。(近藤佑次委員) 意見6に対する考え方と反映状況 現在、障害者と障害者でない者が共に暮らしやすい社会をつくるために、障害や障害者に対する正しい理解を深めていただく方向性を考えています。 強いメッセージの場合、差別してしまうことをおそれるあまり、障害者を避けたり共に活動することを躊躇する意識につながる懸念もあります。 皆様のご意見をいただきながら検討してまいりたいと考えています。 38ページ 意見7 店では障害のある人や高齢者に店員がやさしく説明をしない、時にはきついことばを言う人もいる。 介助犬をペット扱いして同行を拒否するのは障害者の介助犬同伴に理解ができていない。 入店拒否する店やわかりにくい説明をする店が悪いと思う。 店長や店員など障害者や高齢者にやさしく配慮してわかりやすい説明をすることが福祉学習になると思う。介助犬の同行での入店の拒否を禁止してほしい。 店などを対象にした差別禁止と配慮を学ぶ研修を実施する。(今井千鶴委員) 意見7に対する考え方と反映状況 事業者に対して、障害及び障害者への理解が深まるような啓発に取り組んでまいります。 意見8 福祉防災対策について、防災マップに点字や福祉マークがないことや災害時に手話と心のケアもないと不安になると思う。 配慮、安全な福祉防災対策をしっかりと整備を進めることが重要である。 災害時に心のケアや手話などが必要な障害者や高齢者に安全、安心のできる福祉避難所、わかりやすい防災の内容のお知らせをしてほしい。 名古屋市の福祉防災マップに点字と福祉避難所、福祉避難ビルのマークをのせるなどのよりわかりやすい福祉防災マップを障害者と高齢者に作ってほしい。(今井千鶴委員) 意見8に対する考え方と反映状況 個別の施策に対するご要望については、所管局へ伝えさせていただきます。 意見9 国が障害者差別解消法を制定し、愛知県が条例を制定しているので、同じような文言の繰り返しではわざわざ名古屋市として条例を制定する意味はないと思う。 一市民として感じることは、現在も障害者に対する偏見は強く、差別は依然として解消されていない。この原因としては、障害者に対する知識のなさや無理解が根底にあると思うので、一般市民に対して、障害者について知る機会を設けることが大切だと思う。 具体的には、子どもに対しては、小学校や中学校で障害者についての教育や、実際に障害者と触れ合う場を設けるとか、運動会や学芸会に障害者を招き、交流の場を設けるとかはどうか。 大人に対しては、区役所や社会福祉協議会・いきいき支援センター等が中心になって区単位で障害者を理解するための講演会だけでなく、運動会・バザー・花見・紅葉狩り・バーベキューなど、何でもいいので障害者と交流できる催しを企画することを強く推奨するなり、例えば年2回の開催を義務化するなりしてはどうか。 千葉県が先進的に取り組んでいるが、トラブル解決のために地域支援員、その上に広域専門指導員を置いている。名古屋市においても同様の取組みを始めてはどうか。あと、障害者差別解消支援地域協議会の設置を各区で取り組んではどうか。 先にあげた講演会や花見等も、各区の障害者差別解消支援地域協議会が中心となって取り組んでもいいかもしれない。(牧篤彦委員) 意見9に対する考え方と反映状況 障害及び障害者への理解が深まるような啓発に取り組んでまいります。 障害に対する正しい理解を促進するため、基本理念として、社会のあらゆる機会において、子どもの頃から障害に関する知識や理解を深め、学校教育でともに助け合い学ぶ心について規定します。【4−@(1)(9)】 39ページ 意見10 事務局が他の自治体の条例などを参考として、名古屋市にふさわしいと思われる「条例案」を提示し、それをたたき台に、議論を進めて行く方法はどうかと思う。(寺田浩委員) 意見10に対する考え方と反映状況 委員の皆様のご意見をいただきまして、このたび条例の枠組み案をお示ししました。 意見11 条例の趣旨は極めて尊いものであることは言うまでもない。 そこでは、やはり多様で様々な背景を抱える障害への十分な理解、そして障害者への正しい理解が不可欠である。 それは障害者と多く出会い、ふれ合い、関わることによって理解が深まるものと考える。 例えば、多様な障害への十分な理解や障害者への正しい理解を図るための広報活動や、様々な職種における具体的で実践的な研修の充実、進学や資格取得等に関する合理的配慮の推進など、いろいろな角度から改善していかなければならないと思う。 条例を具体的で分かりやすく、実効性のあるものにしていくためには、現在ある問題点を明らかにし、様々な事例を積み上げていく必要がある。 そうしたことにより、条例があるからという理由ではなく、障害者が自由に街に出掛けられる障害者に優しい社会、だれもが豊かな暮らしができる社会につながっていくのだと思う。(新井宏法委員) 意見11に対する考え方と反映状況 障害及び障害者への理解が深まるような啓発に取り組んでまいります。 事例の蓄積や適切な対応を重ねることで、地域における合理的配慮の取組み水準を高めてまいります。 40ページ (空白)