11ページ 参考資料1 第1回の部会終了後にいただいたご意見 条例の構成についてのご意見 ○前文 前文では、めざすべき社会の姿を示します。 各条項の解釈や運用の指針となる理念や基本的な考え方を示します。 意見1 障害のある人が日常生活、社会生活、災害時においても差別を受けることがないようにすることを前文に入れる。(岡田ひろみ委員) 意見1に対する考え方と反映状況 障害者差別の原因である誤解や偏見を取り除き、正しい理解の促進により差別解消を図り共生社会の実現をめざす決意を示すことを検討します。【1】 また、災害時における配慮については、基本理念に規定することを検討します。【4−@(8)】 意見2 差別を受けても仕方ないとあきらめている人たちに差別解消の仕組みを示すことにより、障害のある人もない人も、共に暮らす社会の実現を目指す。(岡田ひろみ委員) 意見3 基本理念や条例の目指すべき方向性について名古屋市の決意表明といった内容を取り入れる。(王子田剛委員) 意見4 名古屋市が障害者差別の解消に向けて取り組む姿勢を宣言すべきである。(田中伸明委員) 意見5 名古屋市は、「○○○な都市を目指す」との宣言を入れてはどうか。条例のタイトルにも関わってくるが。(牧篤彦委員) 意見2〜5に対する考え方と反映状況 障害者差別の原因である誤解や偏見を取り除き、正しい理解の促進により差別解消を図り共生社会の実現をめざす決意を示すことを検討します。【1】 意見6 障害者が感じている「障壁」はみんなで取り除こうというような文章が望ましい。(荒川清美委員) 意見7 社会的障壁を取り除く取り組みの促進を明記する。(小山秀隆委員) 意見6〜7に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を活かしたわかりやすい表現を検討します。【1】 意見8 愛知県条例の前文よりもよりわかりやすく市民が身近に感じられる表現を使う。(加藤葉子委員) 意見8に対する考え方と反映状況 わかりやすく身近に感じられる表現を検討します。 意見9 一人の人間として・法の下に平等な権利主体として、「地域社会の中で自立した生活を営む権利」・「地域生活支援サービスを受ける権利」・「移動の権利」などを補償する。(近藤佑次委員) 意見9に対する考え方と反映状況 基本的人権を生まれながらに有する個人として尊重されること及び地域社会で自立した生活を営む権利が保障されることについて基本理念に示すことを検討します。【4−@(1)(2)】 12ページ 意見10 障害のある人が障害のない人と等しく、誰とどこに住むかを選択できることや、ある特定の生活様式を義務付けられないことを盛り込む必要がある。(近藤佑次委員) 意見10に対する考え方と反映状況 基本理念で示すことを検討します。【4−@(3)】 意見11 手話を言語として認めるほか、意思疎通を図るための障害の特性に応じたコミュニケーションの促進を明記する。(小山秀隆委員) 意見11に対する考え方と反映状況 基本理念に示すとともに、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(4)】【8−B】 意見12 女性障害者は障害に加えて女性であることによる複合差別があり、その除去に取り組む姿勢を明記する。(小山秀隆委員) 意見12に対する考え方と反映状況 基本理念に示すことを検討します。【4−@(6)】 意見13 防災訓練や発災時の障害の特性に応じたコミュニケーションの促進を明記する。(小山秀隆委員) 意見13に対する考え方と反映状況 基本理念に示すとともに、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(8)】【8−C】 意見14 障害者の権利を認め差別をなくす方法を記述している条例であることを盛り込む(小山秀隆委員) 意見15 障害者の権利が無視されたような場合に、互いに理解し合える仕組みを示している条例であることを盛り込む。(小山秀隆委員) 意見14〜15に対する考え方と反映状況 差別をなくす方法や互いに理解し合える仕組みについては、実体的規定に定めますので、前文では、差別のない社会のあり方や決意を簡潔に述べることとします。 ○総則的規定(目的規定) 目的規定では、前文の理念や基本的考え方のもと、条例の目的を簡潔にまとめて表現します。 意見16 相互に尊重し合える共生社会を実現できることを目的とする。(加藤葉子委員) 意見17 名古屋市障害者基本計画(第3次)に明記されている「インクルーシブな社会の実現」、「障害のある人もない人もお互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きる地域社会」といった内容の文章も目的規定に取り入れていく。(王子田剛委員) 意見18 障害のあるなしに関わらず、人格と個性を尊重し合いながら、社会の対等な構成員として共生社会を実現することを盛り込む。(小山秀隆委員) 意見16〜18に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を、わかりやすい表現で簡潔に規定します。【2−@】 13ページ 意見19 インクルーシブな教育、社会が原則であることを盛り込む必要がある。(近藤佑次委員) 意見19に対する考え方と反映状況 インクルーシブな社会の実現について、わかりやすい表現で規定することを検討します。【2−@】 インクルーシブな教育の趣旨については、基本理念に示すとともに、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(9)】【8−A】 意見20 共生社会という言葉ではなく、包括的社会、お互いに思いやりを持つという位置づけが欲しい。(荒川清美委員) 意見20に対する考え方と反映状況 共生社会という言葉ではなく、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる社会という表現を検討します。【2−@】 なお、前文において、共に安心して生活できるまちの説明として、お互いに思いやりを持つという理念を規定することを検討します。【1】 意見21 外見ではわかりにくい発達障害の特性を理解していただくことで、障害者差別解消の一つに結びつける。(岡田ひろみ委員) 意見21に対する考え方と反映状況 障害及び障害者に対する理解を深めるについて、基本理念に示すとともに、実体的規定としても障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(5)】【8−@】 多様な障害特性については、啓発の取組みの中で、理解が深まるよう進めます。 意見22 障害者と社会的障壁に関する市民と事業者の理解を促進することを盛り込む。(小山秀隆委員) 意見22に対する考え方と反映状況 目的規定としては、市民及び事業者の役割を明らかにすることを掲げ、ご指摘の趣旨は、その具体的な役割の規定において、盛り込むことを検討します。【5AB】 意見23 障害者差別相談センターが設置されているので、障害者差別相談センターの役割を明確化する。(岡田ひろみ委員) 意見23に対する考え方と反映状況 障害者差別相談センターについて、その役割も含めて規定することを検討します。【7−@】 意見24 障害者差別解消支援会議のできること・責務を明確にして、障害者差別相談センターと連携できることを進めて、相談だけでは解決に至らない問題を検討し、解決に進めることができたらよい。(岡田ひろみ委員) 意見24に対する考え方と反映状況 障害者差別解消支援会議について、規定することを検討します。【8−D】 なお、相談のみで解決に至らない紛争解決の仕組みは改めて協議をお願いします。 14ページ ○総則的規定(定義規定) 条例における用語使用にあたっての解釈上の疑義をなくすために、意義を明確にします。 意見25 障害者の定義に、明石市や長崎県の例を参照し、「難治性疾患」と「又は断続的」という表現を加える。平成25年4月より、難病等が障害者総合支援法の対象となった。(平成29年4月から対象疾病が358疾病になった。)法律及び愛知県の条例では、難病患者も「その他の心身の機能の障害がある者」に含まれており、その表現からは難病患者をイメージしにくい。「難治性疾患」と表現することで、より幅広い難病疾患の患者を対象とすることができる。また、難病患者の特性として、「日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける」状態は継続的なだけではなく、波のある「断続的」なものも多い。(牛田正美委員) 意見26 「障害」の定義を設け、明石市の条例と同様に、継続的だけでなく「断続的」が必要である。(難病患者等が漏れないように、広く障害の定義を定めるべきである。)職員が留意しなければならない「障害者」は、障害者手帳を持っている人に限られない。心身のどこかに機能障害(けが、病気、先天性のもの問わず)があり、なんらかの配慮を必要としている人すべてである。(近藤佑次委員) 意見27 障害者の定義について、明石市の条例の第3条(定義)のように難病(難治性疾患)を明示し、社会生活への制限状態を継続的に加え断続的と表現している点を取り入れる。(小山秀隆委員) 意見28 障害者の定義について、可能な限り広く救済できるように定義することが望ましい。(小山秀隆委員) 意見29 「心身の機能の障害」の具体例として、どこまでを明示するのかについて、検討が必要である。(田中伸明委員) 意見25〜29に対する考え方と反映状況 「障害者」の定義について、ご指摘の趣旨を踏まえ、法で明示されていない「難病」を加えるとともに「断続的」という状態を加えることを検討します。【3−@】 15ページ 意見30 障害者の定義、差別の定義、合理的配慮の定義等の用語の定義を明確にして解釈上の疑義をなくす。(王子田剛委員) 意見31 (定義) 1障害 2障害のある人 3社会的障壁 4差別 (1)不当な差別的取り扱い (2)合理的配慮 (仁木雅子委員) 意見30〜31に対する考え方と反映状況 条例における用語の定義として、「障害者」、「社会的障壁」、「不当な差別的取り扱い」及び「合理的配慮」について規定することを検討します。なお、「障害」の用語については、障害者差別解消法と同様、「障害者」の定義の中で示すこととします。【3−@〜C】 意見32 社会モデルの理念を広く普及させるために、社会的障壁を用語の定義として明記した方がよい。(小山秀隆委員) 意見32に対する考え方と反映状況 社会的障壁について、明記することを検討します。【3−A】 意見33 合理的配慮の表現について、権利条約の直訳のような障害者基本法の法文は、日本語的でなく市民や事業者のほか、知的障害者等にも分かりづらいと思う。名古屋市なりの表現として、例えば「障害のあるなしにかかわらず、実質的に平等な機会を確保することが合理的配慮の目的である」といった分かりやすい表現がよい。(小山秀隆委員) 意見33に対する考え方と反映状況 「合理的配慮」については、市民や事業者、知的障害者の方にもわかりやすい表現を検討します。【3−C】 意見34 全ての障害者が性別・年齢等も含め等しく基本的人権を享有すると入れて、女性の障害者を差別することがないように定義する。(岡田ひろみ委員) 意見34に対する考え方と反映状況 ご趣旨は、基本理念に規定することを検討します。【4−@(1)(6)】 意見35 わかりやすい説明をする。(今井千鶴委員) 意見35に対する考え方と反映状況 わかりやすい表現を含む多様な情報提供手段の普及について規定することを検討します。【8−B】 意見36 「差別」の定義の中に、「関連差別」や「間接差別」を設け、一目でわかりにくい差別の明確化が必要である。(近藤佑次委員) 意見37 差別の定義について、直接差別、合理的配慮に加え、関連差別、間接差別についても定義することが望ましい。ただし、関連差別や間接差別が、市民にとって馴染みのない言葉であったり、分かりやすい表現が難しかったり、または知的障害者等にとって理解しにくいとの意見があるようならば、直接差別、関連差別、間接差別をまとめて「差別」として規定したいが、「差別」としてまとめて規定する場合にも、合理的配慮は別項で規定する。(小山秀隆委員) 意見36〜37に対する考え方と反映状況 「関連差別」、「間接差別」については、具体的にどのような事例が該当するのか必ずしも定かではなく、現時点で一律に判断することは困難であるとされています。(内閣府作成「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集」以下「Q&A集」といいます。) 本件に関して、法においては、具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえた上で対応することとされておりますので、継続した課題として全国的な法改正の動きに合わせて対応することを検討します。【9】 16ページ 意見38 「行政機関等」の具体例として「地方議会を含む」という文言を挿入すべきである。(田中伸明委員) 意見38に対する考え方と反映状況 「行政機関等」という用語を条例内で使用しない予定です。 障害者差別解消法においては、国会や裁判所について、「三権分立の観点からそれぞれ実態に即して自律的に必要な措置を講じることとすることが適当である」(Q&A集)とし、差別の禁止等に係る具体的な措置の対象としていません。 同様に、長と議会の関係から、議会の自律的な措置をいただくとともに、障害者差別解消に必要となる情報提供や協力に努めます。 意見39 店などには介助犬の同行に配慮する。(今井千鶴委員) 意見39に対する考え方と反映状況 ご趣旨については、身体障害者補助犬法で規定されています。広報・啓発の取組において周知を進めてまいります。 ○総則的規定(理念規定) 条例制定の理念や方針を強調します。 意見40 意思疎通手段の選択の機会の確保を入れる必要があるが、意思疎通以前に、意思決定支援が重要な支援であることを入れる。(岡田ひろみ委員) 意見40に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を、規定することを検討します。【4−@(4)】 意見41 障害の特性から有意義なIT機器やタブレット等の意思疎通手段の選択の確保が必要である。(岡田ひろみ委員) 意見42 意思疎通に関する理念規定について、愛知県は障害の特性に配慮したコミュニケーションの推進に関する条例を定めている。名古屋市も同様の条例を定めるのであれば、意思疎通に関する理念規定はなくてもよいが、同様の条例を定める予定がなければ、情報障害者に対する理解促進と差別や紛争を予防するために、意思疎通に関する理念を丁寧に規定する。(小山秀隆委員) 意見41〜42に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を、規定するとともに、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(4)】【8−B】 17ページ 意見43 障害があることだけでなく、女性だからという条件の付く、複合差別(障害のある女性)について盛り込む必要がある。京都府の条例では「障害のある女性」が「複合的な原因により特に困難な状況に置かれる」という文言(第2条)や、「性別」への配慮という文言(前文、第2条、第8条)がある。(近藤佑次委員) 意見44 複合差別に関する理念規定について、障害があることに加え女性であることによる「複合差別」に関して、理解促進と差別や紛争を予防するための理念を規定する。例えば、宮崎県の条例の第3条(基本理念)の(5)の規定を想定している。(小山秀隆委員) 意見43〜44に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を、規定することを検討します。【4−@(6)】 意見45 一方的非難について、長崎県の条例の第3条(基本理念)にあるように、一方的に非難し、制裁を加えるような条例でないことを明文化することで市民や事業所の理解を得られやすくする。(小山秀隆委員) 意見45に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を、規定することを検討します。【4−@(7)】 意見46 障害者が地域で生活していくために、教育と福祉の連携が重要であることを基本とする。(岡田ひろみ委員) 意見46に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨は、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【8−A】 意見47 相互理解と障害を個性としてとらえられるように教育分野での活動を確保する。(加藤葉子委員) 意見47に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨は、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【8−A】 意見48 福祉サービスは利用者(当事者)の声を尊重し、組み立てていくようにして欲しい。(荒川清美委員) 意見48に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨は、啓発の中で進めてまいります。 18ページ ○総則的規定(責務規定) 条例の目的を達成するためには、市、事業者、市民に、一定の責務等があることを示します。 意見49 名古屋市、市民、事業者の責務をそれぞれに入れていく。(王子田剛委員) 意見50  (市の責務)  第4条 〜  (市民の責務)  第5条 〜  (事業者の責務)  第6条 〜 (仁木雅子委員) 意見49〜50に対する考え方と反映状況 市の責務、事業者の役割、市民の役割として規定することを検討します。 事業者及市民には、自主的な取り組みが求める趣旨から義務ではなく役割と表現したいと考えています。【5−@AB】 意見51 市の責務のほか、市民と事業者の責務を規定する。市民については「市民の役割」として、権利擁護等の施策に協力するよう努力義務として規定する。事業者について、サービス提供にかかる合理的配慮を努力義務ではなく、法的義務として規定する。(小山秀隆委員) 意見51に対する考え方と反映状況 市の責務のほか、事業者の役割及び市民の役割として記述することを検討します。【5−@AB】 事業者の合理的配慮については、差別の禁止規定において記述します。義務付けのあり方については、改めてご協議をお願いします。【6−B】 意見52 福祉防災対策の整備を優先して進むようにする。(今井千鶴委員) 意見52に対する考え方と反映状況 個別具体的な施策については、総合的及び計画的な実施として規定することを検討します。 (障害者基本計画において、5年ごとの計画期間のニーズにあった個別施策を定めます。)【4−A】 なお、防災に関連して、災害時の配慮について、規定することを検討します。【4−@(8)】 また、災害発生時等の安全確保のために必要となる支援等について、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【8−C】 意見53 民間事業者に関しては努力義務のままでよいが、悪質と思われる場合の対応は指導・勧告・公表もする。(加藤葉子委員) 意見53に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨は、実体的規定として、具体的な差別禁止の規定で示すことを検討します。義務付けのあり方は改めてご議論をお願いします。【6−B】 相談及び紛争防止・解決の仕組みの規定に関しては、改めてご協議をお願いします。 19ページ 意見54 多数の障害者にとっての合理的配慮の提供につながるような場合には、「環境整備」として整備を行うことを明示すべきである。(田中伸明委員)   意見54に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨については、別途、事前的改善措置として規定することを検討します。【6−F】 意見55 行政等は条例制定後の報告書の作成と3年ごとの見直しを行うべきとする。(近藤佑次委員) 意見55に対する考え方と反映状況 見直しについては、附則において、特に3年に限定することなく必要な時期に行う規定を検討します。【9】 なお、障害者差別解消の推進に関する取組みは、障害者差別解消支援会議で報告していくことを考えています。 意見56 事業者のサービス提供にかかる合理的配慮を法的義務と規定するにあたり、配慮にかかる経済的負担を軽減し、差別解消の理念や合理的配慮の普及を促進するために、明石市の条例の第8条(合理的配慮の提供支援に関する施策の実施)と同様の規定をする。助成制度は、事業者へのインセンティブの意味合いであり、差別解消の理念や合理的配慮が普及するまでの一定の期間は必要と考えるが、普及状況を見極めて助成制度を廃止する時限的でもよい。助成制度を廃止するまでの期間については、条例の見直し規定を設けて、見直し項目の一つとする。(小山秀隆委員) 意見56に対する考え方と反映状況 合理的配慮については、それぞれの事業者が主体的に、事業規模に応じて過重な負担に該当するか判断し、代替措置も含めた柔軟な対応をいただくものと考えています。 ご趣旨を踏まえ、合理的配慮の取組みがより普及していくよう積極的な啓発に努めます。 20ページ ○実体的規定(障害を理由とする差別の禁止) 障害を理由とする差別の禁止について定めます。 意見57 定義規定で差別の定義をしたうえで差別禁止の対象範囲や合理的配慮のあり方について日常生活や各領域・分野(医療、教育、公共施設等の利用、不動産取引等)ごとに分けて取り入れる。(王子田剛委員) 意見58 想定される差別については、具体的な事例をならべ、各事業分野別に「各則」を設ける必要がある。(項目:福祉サービス・医療・教育・労働及び雇用・商品及びサービスの提供・不動産取引・建物、施設、公共交通機関・情報コミュニケーション・機会均等・防災)(近藤佑次委員) ※災害が発生した場合、障害のある人は障害のない人に比べよりいっそう困難な状況になることが、東日本大震災、熊本地震で明らかになっている。他の条例にない、南海トラフ地震を見据えた名古屋市独自の災害時の規定「防災」を盛り込むのはいかがか。 意見59 (不当な差別的取り扱いの禁止)  市及び事業者は、次に掲げる取扱い、その他の不当な差別的取り扱いにより、障害者の権利を侵害してはならない。 (1)教育(生涯学習教育も含む) (2)医療 (3)情報提供・コミュニケーション・意思疎通 (4)不特定多数の者の利用提供されている建物その他の施設・交通機関 (5)雇用 (6)住環境 (7)司法・政治 (8)商品・販売・サービス・不動産取引 (9)福祉サービス・地域生活支援 (10)社会参加・スポーツ・文化芸術活動環  境(仁木雅子委員) 意見60 分野ごとに各則を設けることが市民にとって分かりやすい。分野の例として熊本県の条例の第8条(不利益取扱いの禁止)にて、@福祉サービス、A医療、B商品販売・サービス提供、C雇用労働、D教育、E建物・交通機関、F不動産取引、G情報提供、H意思表示の受領が定められている。 名古屋市では、南海トラフ地震が心配されているが、熊本での大地震の際、障害者は避難所での受け入れを拒否されたり、避難所で車いす使用者の車いすが別の場所に置かれて寝かせきりにされたり、聴覚障害者や視覚障害者に食糧の配給などの情報が届かなかったり等が報告されている。そこで、災害対策基本法を補完するために、(熊本県の条例にある9の分野に加えて)「I防災・発災時の配慮」に関しての定義を盛り込むことが中部地区で最大の都市としての役割であり、名古屋らしさになる。(小山秀隆委員) 意見57〜60に対する考え方と反映状況 福祉サービス、医療、教育、労働及び雇用、商品販売及びサービス提供、不動産取引、建物、施設及び公共交通機関、スポーツ・文化芸術活動、情報コミュニケーションといった各事業分野別に規定するとともに、例で示さなかった分野においても「その他」として差別に該当する場合があることを示す規定を検討します。【6−@(1)〜(10)】 機会均等については、事業分野ではなく基本理念でその趣旨が反映される規定を検討します。【4−@(2)(3)(4)】 防災については、防災に関する事業者による差別的取り扱いの禁止というより、市の施策及び地域住民の理解・支援といった関係が深いことから、関連する内容を、基本理念及び実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(8)】【8−C】 その他、防災に関する個別具体的な施策については、基本理念において、総合的及び計画的な実施として規定することを検討します。(具体的には、障害者基本計画において、5年ごとの計画期間のニーズにあった個別施策を定めます。)【4−A】 司法については、障害者差別解消法において、三権分立の観点からそれぞれ実態に即して自律的に必要な措置を講じることが適当とされておりますので、裁判所が自ら定めた「裁判所における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」の取組を進めていただくこととしますが、必要に応じて情報提供等を行います。 政治に関して、「障害を理由とする差別の禁止に関する法制」についての差別禁止部会の意見において政治参加(選挙等)の項目がありますが、この分野における不当な差別的取扱いに関する記述として、選挙権や被選挙権の欠格事由の一つとして成年被後見人であることが挙げられていました。現在は、法改正により、この欠格事由が削除され状況が見直されています。なお、選挙制度は、公職選挙法で詳細に定められており、障害者の選挙権行使を容易にするためには、公職選挙法の改正が必要になりますので、指定都市選挙管理委員会連合会において、総務省等へ要望など働きかけをしています。 分野別の項目は、事業者への周知を効果的に行う趣旨から、各省庁の対応指針など、不当な差別的取り扱いを具体的に定める分野とすることを考えています。 21ページ 意見61 「差別」とは分からずに、言動することがあると思う。具体例を示したい。(合理的配慮の提供の具体例も)(荒川清美委員) 意見62 事業者が提供すべき合理的配慮の範囲については、充分な検討のうえ、できる限り多くの事例が提示されることが望ましいが、類似の事例であっても、対応事業者の企業規模等によって対応可能な範囲(過度の負担とならない範囲)に差異が生じることがあることも考慮すべきである。(田中豊委員) 意見63 国立市の条例の第7条(合理的配慮)にある「前各号に掲げる場合のほか、しょうがいしゃの生活に相当な制限を与えているとき」のように広い分野を差別解消の範囲とするように規定する。(小山秀隆委員) 意見61〜63に対する考え方と反映状況 不当な差別的取り扱いについて、分野ごとの例を示すことを検討します。また、包括的な規定を置いて例示以外の範囲も対象になることを示すことを検討します。【6−@(1)〜(10)】 合理的配慮の提供については、具体的な場面や、事業者ごとの過重な負担など、個別性が高く差別に該当するかどうか一律に判断するのは難しい場面もありますことから、具体例は、条例ではなく周知・啓発の取組みの中で示していきたいと考えます。また、事業ごとに所管省庁が作成する対応指針に、それぞれの分野の合理的配慮の例が示されていますので、対応指針を示して適切な対応ができるような規定を検討します。【6−C】 意見64 各地方公共団体の条例では、「正当な理由」を具体的文言で示すものが見られるが、このような文言を挿入する場合には、解釈の幅が広がらないように、慎重に検討すべきである。(田中伸明委員) 意見64に対する考え方と反映状況 多くの自治体で示されている標準例を参考にしながら、正当な理由は、個々の状況・場面より変わりうるものと考えますが、解釈の幅が広くなりすぎないよう検討します。【6−@(1)〜(9)】 22ページ 意見65 (市が実施する合理的配慮) 市はその事務・事業を行うにあたり、障害者が現に社会的障壁の除去を必要と意思表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でない場合は、障害者の権利、利益を侵害することにならないよう合理的配慮をしなければならない。過重な負担とする場合は、その合理的配慮の範囲を示して、理解を求めなければならない。 市は障害者雇用をする場合において、均等な機会、待遇や他の取扱いを求められた場合は、負担が過重でない場合は、合理的配慮をしなければならない。過重な負担となる場合は、その合理的配慮の範囲を示して、理解を求めなければならない。(仁木雅子委員) 意見65に対する考え方と反映状況 趣旨について、規定することを検討します。【6−AB】 なお、合理的配慮の提供において、負担になり過ぎると判断する場合の規定を検討する関係上、不当な差別的取扱いにおいて、正当な理由があると判断する場合についても、その理由を説明し理解を得るよう努める規定を検討します。【6−E】 意見66 合理的配慮の提供について、私達が普段生活する中で利用するほとんどは行政機関ではなく民間事業者であることから、民間事業者に合理的配慮の提供を義務づける必要がある。(近藤佑次委員) 意見67 (事業者が実施する合理的配慮)(仁木雅子委員) 意見68 合理的配慮の提供について、法的義務とするのか(障害者雇用促進法)、努力義務とするのか(障害者差別解消法)について、検討が必要である。(田中伸明委員) 意見69 政府の基本方針においても事業者については、不当な差別的取り扱いの禁止が法的義務とされる一方、合理的配慮の提供については努力義務(愛知県の条例も同様)とされていることを踏まえるべきである。(田中豊委員) 意見66〜69に対する考え方と反映状況 改めて協議をお願いします。 意見70 何人も差別をしてはならない。(仁木雅子委員) 意見71 (市民が実施する合理的配慮)(仁木雅子委員) 意見70〜71に対する考え方と反映状況 法においては、事業者ではない一般私人の行為や思想、言論を法規制することは不適当とされ、啓発活動を通じた周知を図っていくこととされております。 なお、基本理念において、全ての市民が障害についての知識と理解を深めるとともに差別の解消を全ての市民の課題として取り組むことを規定することを検討します。【4−@(5)】 また、事案の内容に応じ人権問題として法務局と連携することで対応します。 23ページ 意見72 防災に関して、総合防災訓練や防災ボランティア等による地域の避難訓練に障害者等の要救助者の参加を積極的に受け入れ、地域住民の協働で有事を乗り越えようとする理念をこめた規定が必要である。また、防災学習の機会均等が得られない状況は差別にあたるとの規定も必要である。災害発生時の配慮については、避難所での受け入れ拒否は差別にあたること、車いす等の補装具は使用者から引き離さないこと、障害の特性の応じたコミュニケーション手段(手話、要約筆記等)や代替手段(手のひら書き等)を用いること、音に過敏であったり人ごみを恐怖と感じたり奇声を発したりする等の障害の特性にできるかぎり配慮するよう規定する。(小山秀隆委員) 意見72に対する考え方と反映状況 災害時対応については、基本理念や実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(8)】【8−C】 また、個別具体的な施策については、基本理念において、総合的及び計画的な実施として規定することを検討します。(障害者基本計画において、5年ごとの計画期間のニーズにあった個別施策を定めます。)【4−A】 意見73 福祉防災対策の優先整備しないことを禁止する。(今井千鶴委員) 意見73に対する考え方と反映状況 個別具体的な施策については、総合的及び計画的な実施として規定することを検討します。 (障害者基本計画において、5年ごとの計画期間のニーズにあった個別施策を定めます。)【4−A】 なお、防災に関連して、災害時の配慮について、規定することを検討します。【4−@(8)】 また、災害発生時等の安全確保のために必要となる支援等について、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【8−C】 意見74 実効性を持たせるためにも、明石市で行われている民間事業者の合理的配慮の提供を支援する助成制度を設けたらよいのではないか。(近藤佑次委員) 意見74に対する考え方と反映状況 合理的配慮については、それぞれの事業者が主体的に、事業規模に応じて過重な負担に該当するか判断し、代替措置も含めた柔軟な対応をいただくものと考えています。 ご趣旨を踏まえ、合理的配慮の取組みがより普及していくよう積極的な啓発に努めます。 24ページ 意見75 店などに介助犬の付き添い・同行を拒否するのは禁止する。(今井千鶴委員) 意見75に対する考え方と反映状況 ご趣旨については、身体障害者補助犬法で規定されています。広報・啓発の取組において周知を進めてまいります。 意見76 国政選挙等では政見放送(手話通訳あり)などで、有権者は選ぶための情報を得ることができるが、地方選挙では国政選挙等に比較して情報障害者に対する配慮がなされていない。障害者も社会の一員として政治に参加するために、国政選挙と同等の情報保障がなされるよう規定する。(小山秀隆委員) 意見76に対する考え方と反映状況 政見放送ができるのは、公職選挙法第150条の規定により、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙に限られており、それ以外の地方選挙では、政見放送ができないこととなっています。 選挙制度は、公職選挙法で詳細に定められていることから、障害者の選挙権行使を容易にするための制度改正については、政令指定都市で構成する指定都市選挙管理委員会連合会において、平成28年10月に総務省及び関係国会議員に対し、公職選挙法等改正に関する要望(参考資料2)を行いました。地方選挙においても国政選挙と同等の情報保障がなされるよう引き続き国への働きかけ等を進めます。 ○実体的規定(相談及び紛争防止・解決の仕組み) 障害者差別に対する相談や紛争防止・解決の仕組みについて定めます。 意見77 障害者差別相談センターが開設され、より良い体制が保たれるよう整備に取り組む。(加藤葉子委員) 意見78 障害者差別相談センターがあるので、それを有効に利用するような体制にして欲しい。思いやりを原点とする。国や他の地方にとらわれず、人間らしく生きることを本質に考えた施策であって欲しい。(荒川清美委員) 意見79 (相談支援体制の整備) (1)名古屋市障害者差別解消支援会議設置 (2)名古屋市障害者差別相談センター設置及び名古屋市障害者差別解消連絡調整会議の設置 (3)各相談等関係機関の連携・調整体制の整備 (相談・紛争解決)  何人も市又市委託相談支援機関に対して、以下に掲げる事項について相談することができる。 (1)差別に関すること (2)正当な理由なく、区別、排除、又、制限するなどの障害のある人に対しては付けない条件をつけることや、障害等を理由として不利益な取扱いに関すること。 (3)合理的配慮に関すること (4)障害のある人に対する障害を理由とする言動で、それを受けた障害ある人が不快の念を起こさせることに関すること。 (仁木雅子委員) 意見80 相談の受付は障害者差別相談センターはじめ現在実施している窓口を規定することでよい。(小山秀隆委員) 意見81 相談体制の整備について 名古屋市は、障害者及びその家族その他関係者からの差別の相談に的確に応じるための体制として、障害者差別相談センターを設置し、そのセンターを委託することができることを明記する。また、地域の相談窓口として、区役所・支所、保健所、障害者基幹相談支援センターの相談業務に差別に関する相談及び紛争の防止機能があることを明確にし、地域の相談窓口は、相談事案解決について、差別相談センターへ引き継ぐことができることを明記する。(弘田直紀委員) 意見77〜81に対する考え方と反映状況 障害者差別相談センターの設置及び委託について規定することを検討します。【7−@A】 区役所、支所、保健所については、いずれも「市」として規定することになります。市内部の所属や事務分担、手続きについては、条例ではなく細則で定めるものとします。 障害者差別相談センターについては、障害者差別解消法第14条に掲げる「障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備」として設置した経緯から、条例では、今までどおり、障害を理由とする差別に的確に対応として示すことを検討しています。 詳細な相談の分類は、必要に応じて別途定めるものとします。 なお、障害者差別解消支援会議については、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【8−D】 25ページ 意見82 雇用関係及び個人による差別への対応について ・名古屋市として雇用関係及び個人からの差別の禁止の啓発を行うことは必要であり、条例でも積極的な啓発を実施すると明記することは必要と考える。その啓発については名古屋市、差別相談センター、地域の相談窓口などの関係機関が実施若しくは連携を図り実施する内容とする。 ・雇用、個人からの差別事案に対する事案の解決に向けた取り組みは、現状の愛知県労働局及び名古屋法務局で行うことになると考える。(弘田直紀委員) 意見82に対する考え方と反映状況 障害者差別相談センターの役割として、事業者及び市民に向けた啓発についても規定することを検討します。 また、雇用や個人に関する相談については、高度な専門知識や調整能力を有し、従前から対応している専門機関への引継による迅速で円滑な対応が求められることから、必要に応じ関係機関と連携しながら紛争解決に当たる現在の仕組みを規定することを検討します。【7−@】 意見83 紛争の防止にかかる障害者の理解促進や差別解消法の理念の普及は障害者差別相談センターを中心にした取り組みが既に行われており、各機関が協力すると規定してよい。(小山秀隆委員) 意見84 紛争解決の仕組みについても、障害者差別相談センターを中心に各機関が協力して取り組んでいるところから現状の解決の仕組みを規定することでよい。(小山秀隆委員) 意見83〜84に対する考え方と反映状況 障害者差別相談センターの啓発等について、規定することを検討します。【7−@】 26ページ 意見85 相談したことにより、相談者が不利益を受けないための制度が必要である。(田中伸明委員) 意見85に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を規定することを検討します。【7−C】 意見86 グループホームの開設、民間アパート・マンションの借用と、近隣住民の理解を進めるが、理解を得られない場合の相談、あっせん、手段を明記する。(岡田ひろみ委員) 意見86に対する考え方と反映状況 法においては、事業者ではない一般私人の行為や思想、言論を法規制することは不適当とされ、啓発活動を通じた周知を図っていくこととされております。近隣住民への理解が進む啓発に努めますが、事案の内容に応じ人権問題として法務局と連携して対応します。 なお、基本理念において、全ての市民が障害についての知識と理解を深めるとともに差別の解消を全ての市民の課題として取り組むことを規定することを検討します。【4−@(5)】 意見87 事業者が協議に応じるようにするための制度の創設が必要である。(例:市長からの要請を可能とする。)(田中伸明委員) 意見87に対する考え方と反映状況 事業者及び市民の役割に、障害者差別解消に関する施策への協力を規定することを検討します。【5(2)A(3)A】 意見88 ・民間事業者の義務化 障害者差別解消法を一歩踏み込んで、民間事業者に合理的配慮の提供を義務化することは必要なことと考える。その場合、民間事業者は、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするために、負担が過重でないときは、「合理的配慮を行わなくてはならない」となると思うが、「社会的障壁の除去の実施に伴う負担が過重でない」という判断を「誰が、どのように行うか」そのために「どのような知識が必要となるか」を十分議論し、その「体制を確保すること」を前提としたうえで、義務化する必要がある。(弘田直紀委員) 意見89 ・環境整備との関係 平成29年4月に内閣府が出した事例集によれば、環境整備は、合理的配慮を提供する前提としての努力義務の位置づけとなっており、環境の整備は、差別ではないため過重な負担の概念が及ばない。内閣府の出した合理的配慮の事例を見る限り、特に過重な負担で社会的障壁を除去することができないような事例は想定できない。このため、民間事業者に合理的配慮の提供を義務化しても、社会的障壁の除去に対して特に過重な負担となることが想定できない。このように判断する場合は、障害者差別解消法を一歩踏み込んで、民間事業者に合理的配慮の提供を義務化することは必要なことと考える。なお、過重な負担が想定される場合は、民間事業者の合理的配慮の義務化と同様に体制の確保が前提となる。(弘田直紀委員) 意見88〜89に対する考え方と反映状況 改めて協議をお願いします。【6−B】 27ページ 意見90 (条例推進会議の設置等)  障害のある人もない人も共に生きる名古屋市条例(仮)推進会議(以下、「条例推進会議」とする。)を設置する。この会議は障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第17条第1項に規定する障害者差別解消支援地域協議会と兼ねるものとする。  条例推進会議の目的  前項に定めるものの他、条例推進会議の運営に必要な事項は、規則で定めるものとする。 (相談支援体制の整備) (1)名古屋市障害者差別解消支援会議設置 (2)名古屋市障害者差別相談センター設置及び名古屋市障害者差別解消連絡調整会議の設置 (3)各相談等関係機関の連携・調整体制の整備 (仁木雅子委員) 意見91 障害者差別解消支援会議を規定しておく。(小山秀隆委員) 意見90〜91に対する考え方と反映状況 障害者差別解消法第17条第1項に規定する障害者差別解消支援地域協議会として、障害者差別解消支援会議を設置しておりますので、同会議について、実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【8−D】 同会議において、広報啓発をはじめとする条例の推進に必要な協議を進めてまいります。 意見92 合理的配慮に欠ける場合について、調停手続き等を創設することを検討すべきである。(田中伸明委員) 意見92に対する考え方と反映状況 紛争解決の仕組みは、改めて協議をお願いします。 28ページ 意見93 (助言又はあっせんの申し立て)  相談に係る関係者は、なお解決が図られない場合は市長に対し、その解決のために必要な助言又はあっせんの申し立てをすることができる。その場合、障害のある人の意思に反することが明らかである場合が認められる時は申し立てはすることが出来ない。 (事実の調査)  市長は申し立てがあった場合、その申し立てに係る事実について調査を行い、又、名古屋市相談支援機関(名古屋市障害者差別相談センター)に必要な調査を行わすとができる。  前項の調査の対象となる者は、正当な理由がある場合を除き、調査に協力しなければならない。 (助言又はあっせん)  市長は前条1項の調査の結果、必要があると認める場合は22条に規定する調整委員会(以下、「調整委員会」とする)に対して助言又はあっせんを行うことについて審議を求めるものとする。  調整委員会は、前項の審議のために必要と認める場合は関係者出席を求め意見を聞き、又、資料の提出を求めることができる。  市長は、調整委員会が助言、又はあっせんの必要があると認める場合、申し立て事案が性質上助言、又、あっせんが適当と認める場合は、係る申し立て事案の関係者に対し、助言・あっせんを行う。 (勧告) (事実の公表) (意見陳述の機会の付与) (調整委員会の設置等)   〜を設置する。 調整委員会は以下の実務をする。 (1)市民の諮問に応じ、差別に係る事項を調査審議する。 (2)調査結果に基づき、市長に対して助言、又はあっせんの必要性について建議する。 前項に定めるものの他、調整会議の運営に関し必要な事項は規則で定めるものとする。 (仁木雅子委員) 意見93に対する考え方と反映状況 改めて協議をお願いします。 なお、ご指摘の調整委員会を設置する場合には、障害者差別相談センターに設置する困難事案を協議する連絡調整会議との整理が必要となる場合があります。 29ページ 意見94 県条例との関係について @県条例の助言、あっせん又は指導 これまで障害者差別相談センターとしては、解決に向けての調整の中で、愛知県の条例を活用しなくてはいけない事例はないので、名古屋市の条例にこの内容を盛り込む必要性は感じていないし、必要となった場合は、愛知県の条例を活用することでよいと考える。但し、以下の判断がある場合は、助言、あっせん又は指導の条項が必要と思われる。 ア)愛知県の条例では、不当な差別的な取扱いに該当する事案に限られていることから、合理的な配慮の不提供も対象とする場合 イ)愛知県障害者差別解消調整委員会が知事に意見を述べる際に、名古屋市の障害者差別相談センターの申し出に対しての再調査等で解決までにかなりの時間を要する場合 A市条例で助言、あっせん又は指導等の内容の条文を作成する場合 ア)判断機関の設置 愛知県では愛知県障害者差別解消調整委員会の意見を聞いて愛知県知事が判断をすることになっているが、名古屋市の場合でも、障害者差別解消支援会議以外のもう少し少人数の判断機関を設置し、判断していく必要がある。 【流れ図】 1)障害者差別相談センター → 判断機関 → 障害者差別解消支援会議が市長へ意見 2)障害者差別相談センター → 判断機関が市長へ意見 イ)判断機関へ上げるまでのルートの一本化 ア)で定めた判断機関へ上げていくルートを一本化した方が明確となる。地域の相談窓口で解決できなかった事案については、障害者差別相談センターで再度検討、調整したうえで、判断機関へ上げていくルールを明確化する。 (弘田直紀委員) 意見94に対する考え方と反映状況 改めて協議をお願いします。 なお、本市においては、障害者差別相談センターにおいて、困難事案への対応として開催する連絡調整会議が、現在、愛知県障害者差別解消調整委員会に相当する役割を担っています。 30ページ 意見95 悪質なケース等への対応として、必要に応じて市長による助言、あっせんを行う仕組みを設ける。(小山秀隆委員) 意見96 実効性を担保するために「指導、勧告、公表」の規定を設ける。(小山秀隆委員) 意見95〜96に対する考え方と反映状況 改めて協議をお願いします。 意見97 紛争解決の仕組みに実効性を持たせるため、千葉県の条例にあるような訴訟支援を盛り込んではいかがか。(近藤佑次委員) 意見97に対する考え方と反映状況 条例の位置づけとしては、当事者間による建設的対話による相互理解による解決をめざすこととし訴訟による決着を支援する規定は置かないものとします。 なお、必要に応じ、既存の法律相談制度の活用などで対応します。 意見98 各区に地域支援員、市に広域専門指導員を配置する。(牧篤彦委員) 意見98に対する考え方と反映状況 本市では、各区においては、区役所福祉課、支所区民福祉課、保健所、障害者基幹相談支援センターにおいて相談を受付けるとともに、市全体として障害者差別相談センターで受付ける体制としており、ご指摘の趣旨を満たす体制となっていると考えております。 意見99 各区に障害者差別解消支援地域協議会を設置する。(牧篤彦委員) 意見99に対する考え方と反映状況 障害者差別解消支援地域協議会の設置・運営指針(内閣府作成)等においては、県・市町村ごとにひとつの設置で、各区に設置することは想定されていませんが、各区で必要な取組が進むような支援や情報提供を考えていきたいと思います。 31ページ ○実体的規定(障害者差別解消を推進する取組み) 障害者差別解消を推進する取組みを定めます。 意見100 (差別解消のための基本的施策の推進) 1差別解消の知識の普及の研修の実施 2差別解消に関する周知啓発の推進 3障害のある人もない人も互いに交流し相互理解を探るための機会の提供 (仁木雅子委員) 意見100に対する考え方と反映状況 ご趣旨について、規定することを検討します。【8−@A】 意見101 虐待防止、優生思想や施設コンフリクト(※)の解消など、より高度で複雑な問題に対応するために、具体的で包括的な規定をすべきである。(近藤佑次委員) ※社会福祉施設の建設に対する地元住民からの反対運動 意見102 個人に対して、ヘイトスピーチを禁止する等、何らかの規定を創設することも検討する。(田中伸明委員) 意見101〜102に対する考え方と反映状況 市民への啓発について規定することを検討します。【8−@】 また、基本理念において、障害者が障害者でない者と等しく基本的人権を生まれながらに有する前提を規定するとともに、障害の有無にかかわらず暮らしやすい地域づくりを規定することを検討します。【4−@(1)(5)】 なお、法においては、事業者ではない一般私人の行為や思想、言論を法規制することは不適当とされ、啓発活動を通じた周知を図っていくこととされておりますが、必要に応じ人権問題として法務局と連携して対応します。 意見103 教育の場での福祉体験、包括的な教育の充実を規定する。(荒川清美委員) 意見103に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨について、規定することを検討します。【8−A】 意見104 手話言語・多様なコミュニケーション(外国語を含む)に関する支援について盛り込む必要がある。(近藤佑次委員) 意見104に対する考え方と反映状況 意思疎通手段の普及を規定することを検討します。【8−B】 外国語については、障害者差別解消を目的とする本条例においては規定しませんが、関係局へ伝えさせていただきます。 意見105 障害者差別の解消は、根本的には、全ての市民にお互いを尊重し、支え合う社会を構築しようとする意識が醸成されることが重要である。(田中豊委員) 意見105に対する考え方と反映状況 指摘の趣旨を前文や基本理念で示すことを検討します。【1、4−@(5)】 意見106 財政上の措置の明記をする。(大久保欣史委員) 意見106に対する考え方と反映状況 市の責務に規定することを検討します。【5−@(2)】 32ページ 意見107 見直し規定が必要である。(加藤葉子委員) 意見108 条例施行後の3年を目途にして、条例の施行状況の確認や評価、社会情勢の推移などを勘案して必要に応じて改正を行えるようにする。(王子田剛委員) 意見109 3年ごとの見直し規定を設ける。(小山秀隆委員) 意見107〜109に対する考え方と反映状況 附則に見直し規定を置くことを検討します。 なお、特に条例施行3年にかかわらず必要があれば検討し改正を行うものと考えています。【9】 意見110 周知方法の具体的な明記をする。(大久保欣史委員) 意見110に対する考え方と反映状況 周知方法については、効果的な方法を、全国から情報収集し、また、障害者差別解消支援会議で今後も継続して協議検討していきたいと考えているため具体的な規定は控えます。現状の周知方法にとどまらない効果的な周知を調査研究してまいります。 意見111 事業者に対しては、問題となった事例を分かりやすく整理し、業界団体等を通じて、繰り返し、広報・周知を図ることが有効と考える。(田中豊委員) 意見111に対する考え方と反映状況 広報及び啓発について規定することを検討してますが、有効な方法として参考にさせていただきます。 意見112 (差別解消のための基本的施策の推進) 4 障害のある人に配慮した取り組みを行う事業者・市民の情報を周知又、表彰を実施(仁木雅子委員) 意見113 功労者に対する表彰の規定を設ける。(小山秀隆委員) 意見112〜113に対する考え方と反映状況 市民の誰もが、障害について正しく理解し、差別の禁止や合理的配慮の提供が当たり前になされる社会をつくるという趣旨から、条例において特定個人・団体の表彰を規定することは差し控えたいと考えています。 なお、障害のある人に配慮した取り組みを行う事業者・市民の情報の周知は、広報・啓発として実施することを検討します。 33ページ ○条例の構成に関する全般・その他 その他、条例全体にわたるご意見です。 意見114 名古屋市においては、平成28年8月に障害者差別解消法を推進させる「障害者差別相談センター」を開設し、障害者の差別相談・紛争解決に乗り出したが、開設後8か月で相談実績が238件あり、そのうち差別相談は69件、割合は29パーセントと件数は多くないが、これは障害当事者が差別を差別と感じていなかったり、相談窓口の存在を知らなかったり、障害者差別解消法の内容を理解してなかったりではないか。これから障害者差別解消法が障害当事者に広く広報啓発されれば相談の件数も増え、また、障害の特性に応じた差別相談の分野が多岐に渡るだろうと思われる。現在の障害者差別解消法は、3障害(身体障害・知的障害・精神障害)を頭に置いた法であるから、相談が多岐に渡れば対応が難しくなるだろう。それを補うための市の条例も、全ての事例に対してクリアできないのではないか。そこで、大災害が発生したときに市の条例によって対応し、特に障害当事者に対しての防災条例を考えていきたい。過去に、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本大震災により、震災弱者でもある障害者が、避難所で不当な差別を受けた事例が多く報告されている。現在、名古屋市の条例の中で防災関係の条例で災害弱者である障害者についての対応が見られるのは、名古屋市防災条例第16条の「市、市民及び事業者は、高齢者、障害者、外国人その他災害が発生した場合において特に援護を要する者の避難に関し、これらの者に配慮した対策を講ずるよう努めなければならない。」と、この第16条だけでは対応できないのではないか。是非、障害当事者に優しい防災条例を考えていきたい。(浅野義勇委員) 意見114に対する考え方と反映状況 積極的な啓発によって差別事例件数が減らせるよう努めてまいります。 防災については、特に基本理念や実体的規定として障害者差別解消を推進する規定に示すことを検討します。【4−@(8)】【8−C】 また、個別具体的な施策については、総合的及び計画的な実施として規定することを検討します。(障害者基本計画において、5年ごとの計画期間のニーズにあった個別施策を定めます。)【4−A】 なお、ご指摘の点については、名古屋市防災条例を所管する防災危機管理局へ伝えさせていただきます。 34ページ 意見115 障害のない人が障害のある人に「あいさつを無視などが多い」と不安になり、相談ができない人もいる。相談所があるとうれしい。障害者への差別禁止と障害者・障害児へのいじめを禁止してほしい。注意しても守る人がいるのかと思うが、注意しても守らない差別をまたした場合には厳しい処罰対象とすることが必要である。(今井千鶴委員) 意見115に対する考え方と反映状況 障害者差別相談センターを規定することを検討します。【7−@】 障害者の人権が尊重されるとともに、子どもの頃から正しく障害を理解し障害の有無にかかわらず共に助け合い学び合う心をはぐくむという基本理念の規定を検討します。【4−@(1)(9)】 なお、障害者差別解消法の趣旨として、罰することではなく、啓発によって自主的な改善が図られるよう取り組みを進めます。 意見116 差別や虐待は、日常の生活場面で発生している。したがって、身近な市町村で差別を解消するための条例は必要不可欠であると考える。(堀田明委員) 意見116に対する考え方と反映状況 日常の生活場面で発生する差別の解消につながるような条例の案を検討します。 意見117 条例の構成(案)について、障害のある人・ない人に関係なしで、共生社会の実現に向けて考えていきたい。(小田賢一委員) 意見117に対する考え方と反映状況 ご指摘の趣旨を踏まえた条例案として検討します。 意見118 基本的には条例の趣旨や構成については特に異論はないが、さらなる事例の積み上げが大切である。(新井宏法委員) 意見118に対する考え方と反映状況 事例の積み上げを重ね、よりわかりやすい効果的な周知につなげてまいります。