9ページ 資料5 条例の構成(案)について ― 概要 ― ○前文 1 総則的規定 (1)目的規定   法令全体の解釈・運用の指針となるもの (2)定義規定   用語の意義を明確にし、解釈上の疑義をなくすためのもの (3)理念規定   制定の理念や方針を強調したい場合に規定されることが多いもの (4)責務規定   目的達成のために、一定の責務があることを強調したい場合に規定されることが多いもの 2 実体的規定 (1)障害を理由とする差別の禁止   ア 不当な差別的取扱い   イ 合理的配慮の提供 (2)相談及び紛争防止・解決の仕組み   障害者差別相談センターの位置づけなど (3)その他個別規定   市民理解の促進など 10ページ ― 方向性 ― 【条例全体の方向性の案】 ・障害者差別解消法の理念や趣旨に沿って、地域におけるより効果的な取り組みを推進されていくもの ・障害の有無にかかわらず、すべての市民が誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、多様なあり方を認め合える意識が醸成されるようなもの ・合理的配慮など自主的な取り組みが進められていく基盤整備となるもの 【ご意見をいただきたい点】 ・障害のある人のための条例ではなく、障害のある人ない人のいずれにも必要な条例と認められるために求められる視点 ・共生社会の実現に向け、法や県条例に不足していると思われる視点 ・本市に特徴的な独自の視点 ・ある程度普遍的な内容 ・本市条例の名称 【参考】 ○障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月閣議決定) 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3 啓発活動  障害者差別については、国民一人ひとりの障害に関する知識・理解の不足、意識の偏りに起因する面が大きいと考えられることから、内閣府を中心に、関係行政機関と連携して、各種啓発活動に積極的に取り組み、国民各層の障害に関する理解を促進するものとする。 (3)地域住民等に対する啓発活動 イ 障害のある児童生徒が、その年齢及び能力に応じ、可能な限り障害のない児童生徒と共に、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる機会を活用し、子供の頃から年齢を問わず障害に関する知識・理解を深め、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人であることを認識し、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び合う精神を涵養する。障害のない児童生徒の保護者に対する働きかけも重要である。 11ページ 1 総則的規定 ○前文 【方向性の案】  条例制定に至る経緯とともに、本市における共生社会の実現に向けた決意や意思表明等を規定(前文、目的、基本理念の重複は避ける) 【参考】 ○名古屋市障害者基本計画(第3次) 第1章 総論 第3 基本的な考え方  昭和56年の国際障害者年を契機として障害者の「完全参加と平等」の実現に向けた取り組みが始まってから、すでに30年以上が経過しました。この間、障害者を取り巻く環境は大きく変化し、障害者が利用できる施設の増加やハード面でのバリアフリー化の推進など、障害者の社会参加を進める上で大きく改善された部分がある半面、今なお障害者が日常生活や社会生活をおくる上での社会的障壁も存在しています。  障害者の自立と社会参加を推進していくためには、いまだに社会に存在する障害者に対する差別、偏見を取り除くことはもちろんのこと、障害や障害者に対する理解を促進するなど地域社会に対してさらなるアプローチを進めていくとともに、障害者を客体ではなく主体としてとらえ、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加するための支援など個別の支援を総合的かつ計画的に推進していくことが必要になります。  本市では、平成16年度から25年度までを計画期間とする「障害者基本計画」を策定し、「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念をもとにその着実な実行に努めてきました。今回の「障害者基本計画(第3次)」では、ここ10年の障害者を取り巻く環境の大きな変化も踏まえ、「障害のある人もない人もお互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きる地域社会」の実現をめざします。  このインクルーシブな社会※2は、社会を構成するすべての人がお互いを思いやる気持ちを持ち、それぞれの役割と責任を自覚して主体的に取り組むことによって達成されるものです。 (1)目的規定  法令の立法目的を簡潔に表現したもので、法令全体の解釈・運用の指針となるもの 【方向性の案】 ・共生社会の実現を目的とする。 ・目的達成に必要なこととして、市、市民、事業者の責務の明示、基本となる事項の規定、障害及び障害者への理解を深めることを掲げる。  (前文、目的、基本理念の重複は避ける)   12ページ (2)定義規定  法令の中で用いる用語の意義を定めるもので、用語の意義を明確にし、解釈上の疑義をなくすためのもの 【方向性の案】 ・法と共通する用語(障害者、社会的障壁、事業者など)は同じ意義 ・条例独自の内容について、必要に応じて規定 (3)理念規定  法令の基本原理を示すもので、法令の制定の理念や方針を強調したい場合に規定することが多い。 【方向性の案】 ・障害に関する正しい知識の取得や理解が深まり、障害者との建設的な対話による相互理解を促進する内容 ・障害者と障害者以外を区分して、相手方を一方的に非難し制裁する趣旨ではなく、市民の誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を認め合えるような趣旨 (4)責務規定  地方公共団体、事業者、住民等の責務を示すもので、法令の目的を達成するためにはこれらの者に一定の責務があることを強調したい場合に規定されることが多い。 【方向性の例】 ・市は、基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解の促進を図るとともに、障害を理由とする差別の解消に関する施策を総合的かつ計画的に実施 ・市民及び事業者は、基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解を深めるとともに、市が実施する障害を理由とする差別の解消に関する施策に協力 ※他の自治体条例における市民・事業者に関する部分に関する条文の見出しについては、「責務」または「役割」とのいずれかの記述となっている。 13ページ 2 実体的規定 (1)障害を理由とする差別の禁止 【方向性の案】 ・不当な差別的取扱いの禁止を規定 ・合理的配慮の提供を規定 【ご意見をいただきたい点】 ・事業者への合理的配慮の提供等についての取り扱い ・分野ごとの規定の有無 ・障害者差別解消法において規定を見送られた部分について、設定する場合には、内閣府作成Q&Aで示された見解(参考資料6)に対する考え方 【参考】 分野別の例  仙台市 福祉サービス、医療 、 商品販売・サービス 、 雇用 、 教育 、 施設(注1)・公共交通機関 、 不動産取引、 情報・コミュニケーション   新潟市 福祉サービス、医療 、 商品販売・サービス 、 雇用 、 教育 、 施設(注1)・公共交通機関 、 不動産取引、 情報・コミュニケーション   さいたま市 福祉サービス、 雇用 、 教育 、 施設(注1)・公共交通機関 、 情報・コミュニケーション、身上情報利用   千葉県 福祉サービス、医療 、 商品販売・サービス 、 雇用 、 教育 、 施設(注1)・公共交通機関 、 不動産取引、 情報・コミュニケーション   栃木県 福祉サービス、医療 、 商品販売・サービス 、 雇用 、 教育 、 施設(注1)・公共交通機関 、 不動産取引、 情報・コミュニケーション   京都府 福祉サービス、医療 、 商品販売・サービス 、 雇用 、 教育 、 施設(注1)・公共交通機関 、 不動産取引、 情報・コミュニケーション  (注1)不特定多数の者が利用する建物その他の施設  ※分野区分のみを明示している例  ○静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例   事業者は、福祉、医療、雇用、商業、交通、教育その他の障害者の日常生活又は社会生活に関する分野において、その事業を行うに当たり、不当な差別的取り扱いをしてはならない。   (2)相談及び紛争防止・解決の仕組み 【方向性の案】 ・周知・啓発、交流などを通した発生防止 ・障害者差別相談センターによる円滑な解決に向けた調査協力など 【ご意見をいただきたい点】 ・愛知県条例(不当な差別的取扱いに限り対応)との関係 ・障害者差別解消法による対応(主務大臣及び事務の委任を受けている地方公共団体の長による報告聴取並びに助言、指導、勧告)との関係 14ページ (3)個別規定 【方向性の案】 ・地域における共生社会の基礎づくりとなる市民理解を深める内容 ・事業者・市民の自発的な取組を促進する内容 ・市が主体となり実施する障害者支援など個別の障害者施策については、各種計画に位置づけ推進する方向(条例には記述しない) 【ご意見をいただきたい点】 ・より効果的な周知につながる考え方 ・認知度をより高める個別規定のあり方 【参考】 他の自治体条例における広報啓発など個別規定の例 仙台市  啓発活動・交流推進、就労・雇用支援充実、意思疎通支援充実、政策形成過程への参画推進、関係機関との連携 さいたま市  総合的な支援等、成年後見制度利用支援等、居住場所の確保等、意思疎通施策等、社会参加の機会拡大、生涯にわたる支援、保育等の実施、包括的な教育の実施等、就労支援 新潟市  教育、保育及び療養、認定こども園における教育及び保育、就労支援、建物等の管理等、居住場所の確保等、適切な説明等、情報及び意思疎通 茨城県  財政上の措置、啓発活動 栃木県  対応指針(県独自)、相談体制充実、啓発活動、教育・学習推進、表彰、財政上の措置 埼玉県  普及啓発、交流の機会の拡大・充実、社会参加の促進、教育の推進、意思疎通の手段の確保、就労の促進等、表彰、職員の育成等、財政上の措置 千葉県  表彰、情報の提供 岐阜県  県民会議、啓発等、就労・雇用支援、意思疎通支援、政策形成過程への参画、関係機関との連携 静岡県  県民の理解・関心増進、文化芸術活動、障害者スポーツ、表彰等、県民会議 京都府  啓発活動の実施、交流推進、雇用及び就労促進、文化芸術活動推進、府民等活動促進、協議会 奈良県  理解促進 福岡県  啓発、表彰 15ページ〜16ページ 資料6 意見提出シート (障害者の差別の解消の推進に関する条例検討部会(第1回)) 提出期限:5月23日(火)までにお願いします。 1 条例検討部会(第1回)にて議題としました「条例の構成(案)」につきまして、ご意見がございましたら、ご記入願います。 2 その他、条例の議論に関するご意見がございましたら、ご自由にご記入願います。 <あて先>名古屋市健康福祉局障害福祉部障害企画課  ※FAX(951-3999)、電子メール(a2538@kenkofukushi.city.nagoya.lg.jp)又は郵送でお送りください。  ※任意の様式でお送りいただいても結構です。